警察や暴力団、ヤクザの間で主に使われる犯罪系の隠語の一覧です。
あ行
赤落ち(あかおち)する
刑務所に入ること。
昔の罪人が赤い着物を着ていたことに由来する。
赤詐欺
結婚詐欺のこと。
ちなみに、金品を狙った詐欺は「白詐欺」、詐欺師をターゲットにした詐欺は「黒詐欺」と呼ばれる。
あかねこ(赤猫)
放火、または放火魔のこと。
飼い猫に火を点け、家に放つという放火の手口に由来する。
あかいぬ(赤犬)、あかうま(赤馬)とも呼ばれる。
「赤猫這わしたろか」(ヤクザ映画のセリフ)
あこぎ
強欲でやり方があくどいさま。
三重県津市の阿漕ヶ浦(あこぎがうら)にまつわる伝説(「阿漕の平次」と呼ばれる漁夫が禁漁区で繰り返し密漁を行い捕らえられたというもの)に由来する。
あんこ
新米の刑事のこと。
居空き(いあき)
住民が在宅している家に侵入して、金品を盗む窃盗犯のこと。別名「忍び込み」。
侵入窃盗と言えば「空き巣」を思い浮かべがちだが、侵入窃盗の3割以上は居空きによるものであり、注意が必要。
イモを引く
ビビること。負けること。
「相手がxx組だからって、イモ引いてんじゃねぇぞお前」
「へぃ、兄貴!」
受け子
オレオレ詐欺などで、現金やキャッシュカードを受け取りに行く犯罪者のこと。
アルファベットの頭文字を取って「U」と呼ぶこともある。
うさぎ
脱走犯のこと。
えんこ
小指のこと。
人形浄瑠璃の手を意味する猿猴(えんこう)に由来する。
主に暴力団の構成員が自らの手で小指を切断することを「エンコを詰める」と言う。
現在ではめったに見られない。
また、警察の隠語で「エンコ詰めてる」とは「暴力団を辞めていること」を意味することもある。
押し込み
侵入強盗のこと。
か行
ガイシャ(害者)
被害者のこと。
かけ子
オレオレ詐欺などで電話をかける犯罪者のこと。
アルファベットの頭文字を取って「K」と呼ぶこともある。
ガサ(ガサ入れ)
家宅捜索や強制捜査のこと。
「探す」の倒語(逆さ読み)に由来する。
ちなみに家宅捜査令状のことは「ガサ状」と呼ばれている。
カチコミ
敵対する組織への襲撃や殴り込みを指す。
「あの組、最近調子に乗ってへんか?」
「カチコミかけますか?」
キャリア
国家公務員総合職試験に合格し、警察庁に入庁した警察官のこと。
東京大学をはじめとした有名大学の出身者が大多数を占める。
各地の県警本部長や警察庁の幹部などを務め、警察組織の中枢を担っている。
グニ屋(ぐにや)
質屋のこと。
グニとは数字の「5」と「2」を表している(足すと「7(しち)」になることから)。
※「9(グ)」-「2(ニ)」 = 「7(シチ)」という説もある。
げそ
犯人が事件現場に残していった足跡のこと。ゲソ痕(げそこん)とも言う。
「げそ」は下足(げそく)、つまり「靴や下駄、草履などの履物」を指す。
ゲソを付ける
ヤクザの世界に入ること。
足を踏み入れる(=下足を付ける)ことから。
対義語:「足を洗う」
ケツモチ
暴力団などが、用心棒として飲食店や風俗店などの問題処理を引き受けること。
またはその暴力団、組員そのものを指すこともある。
ゴタ
喧嘩や揉め事といったトラブルのこと。
さ行
桜田門
警視庁のこと。
サンズイ
汚職事件のこと。
「汚」の字のサンズイに由来する。
シャブ
覚せい剤のこと。
見張りのこと。
元は「敷展」つまり「屋敷を展望する」に由来する。
シマ(島)
暴力団の縄張りのこと。
ションベン刑
短期間の懲役刑のこと。
数か月から3年程度の刑期を指す。
反対語:懲役ロング
スミ
刺青(いれずみ)のこと。
捜査1課
全国の警察の刑事部に置かれ、殺人、強盗、暴行、傷害、誘拐、立てこもり、性犯罪、放火といった凶悪犯罪を担当する。
特に首都圏の治安を守る「警視庁捜査1課」が有名で、ドラマなどで頻繁に登場する。
なお、捜査2課は知能犯と呼ばれる詐欺、贈収賄、脱税などの経済犯罪を担当する部署で、
捜査3課は空き巣、万引き、ひったくりといった窃盗事件を担当する部署である。
捜査4課
全国の警察の刑事部に置かれ、暴力団など反社会的勢力の取り締まりを担当する。
通称「マル暴」。
そうめん
逮捕のこと。
そうめんの細い麺が犯人を捕まえる際に用いる”縄”のように見えることに由来する。
た行
高飛び
事件の犯人が海外に逃亡すること。
単に行方をくらますことは「飛ぶ」。
出し子
オレオレ詐欺などで口座から現金を引き出す犯罪者のこと。
アルファベットの頭文字を取って「D」と呼ぶこともある。
タタキ(叩き)
強盗のこと。
近年ではSNS上で闇バイトを募集する際にも使われている。
タレコミ
協力者からの情報のこと。
「垂れる(=言う)」から転じて「垂れ込む」に由来する。
ちなみに、被害があったことを警察に垂れる(言う)ところから、被害届のことを「タレ」とも呼ぶ。
チャカ
拳銃のこと。
主に関西の暴力団が使う用語で、関東の暴力団は「ハジキ」を使う傾向がある。
なお、「チャカ」「ハジキ」ともに一般に広く知られてしまい隠語にならなくなったため、近年では「腰道具」と呼ぶことも多い。
懲役ロング
長い懲役のこと。
一般的には10年以上の刑期を意味することが多い。
反対語:ションベン刑
帳場
殺人などの重大事件が起きたときに、現場を管轄する警察者に設置される捜査本部のこと。
地取り
事件現場周辺の聞き込みをすること。
チンコロ
密告することや通報することを指す。
鉄砲玉
敵対する組織の者を暗殺する殺し屋のこと。
弾丸は一度発射されると戻ってこないところに由来する。
なお、アメリカの犯罪用語では「ワン・ウェイ・チケット(片道切符)」とも呼ばれている。
飛ぶ
行方がわからなくなること。逃げること。
「あの野郎、どこ行った?」
「あいつは金が払えなくなって、飛びましたよ」
な行
なまばこ(生箱)
金庫のこと。
ニンドウ(任同)
任意同行のこと。
ノミ屋(ノミ行為)
ヤクザが胴元となり開設する、競馬などのギャンブルを指す。
競馬の場合、馬券の購入客へ払い戻しされる金額は売上の75%とされており、残りの25%は開催費用や人件費、設備費等に充てられている。
一方、ヤクザが開催する私設のノミ屋の場合、ヤクザはその経費を支払う必要がないため、売上が上がれば上がるほど利益が上がる一方、客も正規の馬券より約1割増の配当を受け取ることができる。
ヤクザと客がWin-Winの関係にあるノミ行為は年々数が減っているものの、現在でも実施されており定期的に摘発が行われている。
は行
パクる
逮捕すること。
「縛る(ばくる)」が変化して「パクる」になったという説がある。
箱師(はこし)
バスや電車といった公共交通機関で専門的に活動するスリ師のこと。
運び屋
オレオレ詐欺などで現金やキャッシュカードを運ぶ犯罪者のこと。
アルファベットの頭文字を取って「H」と呼ぶこともある。
ハジキ
拳銃のこと。
主に関東の暴力団が使う用語で、関西の暴力団は「チャカ」を使う傾向がある。
ハム
公安警察のこと。
「公」という漢字がカタカナの「ハ」と「ム」に見えることから。
ばんかけ
職務質問のこと。
職務質問を行う際、警察官が「こんばんは」と声を掛けることに由来する。
PB(ピービー)
交番(Police Box)のこと。
交番は箱形をしていることが多いことから「ハコ」と呼ばれることもある。
フダ
逮捕状のこと。
「フダ取りました?」
ブンヤ(聞屋)
新聞記者やレポーターなど、報道関係者のこと。
「新聞屋」に由来する。
弁当
執行猶予のこと。
執行猶予が付いた人のことを「弁当持ち」などと呼ぶ。
常に持ち歩き、食べたらなくなってしまう弁当を、犯罪を犯したらなくなってしまう執行猶予にかけたもの。
ホシ
事件の犯人のこと。
関西では「タマ」と呼ぶこともある。
ぶたばこ(ブタ箱)
警察署の留置場のこと。
ま行
マトリ
麻薬取締官のこと。別名「麻薬Gメン」。
厚生労働省に設置されており、麻薬の取り締まりや違法薬物の不正ルートの解明など、薬物犯罪捜査に対応している。
なお、麻薬取締官は薬物犯罪捜査のためなら麻薬等を譲り受けることができる(麻薬及び向精神薬取締法第五十八条)。
マルガイ(マル害)
事件の被害者のこと。
マルサ
国税庁査察部のこと。
マルヒ(マル被)
事件の被疑者のこと。
マルモク(マル目)
事件の目撃者のこと。
みかじめ(みかじめ料)
暴力団が、縄張り内で営業する飲食店や風俗店などから取り立てる金品のこと。
挨拶料、ショバ代、守料(もりりょう)などとも呼ばれる。
「3日締め」に由来する(=毎月3日に支払わせるという説や、3日以内に支払わなければその店を締めあげるという説などがある)。
ムショ
刑務所のこと。
「刑務所」の「むしょ」に由来すると思われがちだが、実際は刑務所という言葉が生まれる以前から「むしょ」という呼称があった。
かつて囚人を収容するために使われていた牢屋が虫かごのように見えたことから「虫寄場(むしよせば)」と呼ばれ、それが「むしょ」の由来となったとする説がある。
面割り
犯行の被害者や目撃者に被疑者の写真を見せたり、場合によっては被疑者にわからないように目視で確認させ、その証言をもって犯人と特定する捜査手法のこと。
「面通し」とも呼ぶ。
モンモン
刺青(いれずみ)のこと。
や行
やさ
自宅・家のこと。
刀の鞘(さや)に転じて「刀の収まる先」、つまり家・自宅を指す。
「今度引っ越しするんですよ」
「そうか。ヤサはもう決まった?」
ヤッパ
刃物のこと。
「刃(やいば)」に由来する。
関西では「ポン刀」と呼ぶこともある。
ヤマ
事件のこと。
ゆみへん
強盗や強制性交などの犯罪のこと。
漢字の「強」のつくりが「ゆみへん」であることに由来する。
なお、同様に感じのつくりに由来する隠語は他にも存在する。
- 「ごんべん」:詐欺
- 「さんずい」:汚職
- 「にんべん」:偽造
- 「ゆみへん」:強盗・強制性交
- 「うかんむり」:窃盗・空き巣
ら行
ラジオ
無銭飲食のこと。
「無銭」とラジオの「無線」をかけて呼ばれるようになった。
レツ(列)
共犯者のこと。
単純に関係者あるいは仲間を指すこともある。
「系列」に由来する。
巡査「あいつ、ホシのレツですわ!」
デカ長「なにぃ!捕まえろ!」
レンコン
回転式拳銃(リボルバー)のこと。
回転式拳銃の弾倉に空いている丸い穴がレンコンの断面に似ていることから。
わ行
ワッパ
手錠のこと。
曲げわっぱ(スギやヒノキなどの板を曲線に曲げて作る器)に由来する。
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